休憩は20分間。カメラ事件でフレンチフライさんとはぐれてしまったので、会場の外に探しに出掛ける。タバコでも吸ってるかなと思って。結局、彼には出会えなかったけど、ちびけんさんと作務江さんには会うことが出来。リリイさんも無事に辿り着けた旨聞いて安心し、またの再会を約束して別れたわ。
間奏曲は彼女が主演した映画のテーマ曲を抜粋したメドレーから。「ファニーガール」「晴れた日に永遠が見える」「愛のイエントル」「サウス・キャロナイナ〜愛と追憶の彼方」をモチーフにしたもので、それなりに頑張ってはいたけど、マーヴィン・ハムリッシュが"The Concert"用に書いた前奏曲や間奏曲が素晴らしかったからね、聴いてての継ぎ接ぎ感は正直あったわね。
第二幕の最初の曲は「オペラ座の怪人」から"Music Of The Night"。二流芸人との共演の中ではこれが一番マシだったかな。もともとバーブラファンにとっては男女物デュエットとしてインプットされているものだし、基本的に掛け合いになっているのでバーブラの歌い回しが掻き消されることもなく。そして二流芸人、ここで退場。
次からはおそらくこのコンサートで本当に歌いたかったパート。歌に対する注意力が、飛躍的に増す。
まずは母親として時代に警鐘を鳴らす"Carefully Taught/Children Will Listen"。偏見を助長しているのは実は親の言葉なのではないか?何気ない会話でも子供は聞いているものだと。歌詞の意味としても音楽の流れから云っても完成度の高いメドレー。"Children〜"に関しては"Back To Broadway"以来何度となくライブでも取り上げられているけど、歌うたびに深さが増していくのがバーブラのすごいところ。
続いてミュージカル"Nine"より"Unusual Way"。人と人との出会いや縁の不思議さ、ひいては大切さを歌ったものだけど、"The Movie Album"の"How Do You Keep The Music Playing?で見せたようなこの切々とした持ち味はこのところのバーブラの新たな魅力の一つ。ボーカル的にも今回のベストの出来だと思ったわ。
次は会場に来ていたバーグマン夫妻に捧げる"What Are You Doing The Rest Of Your Life?"。基本的に音程的にも難しい曲だと思うんだけど、シャウトせずにこういう曲をクルーンする分にはバーブラもまだまだ現役感たっぷり。さっきの"Unusual〜"もそうだけど、曲さえ選べばまだまだアルバム出せそうだわね。
観客からの謎のQ&Aセクションを挟んで(というか、どこで質問集めてたのかがよく分からないの。読み上げられた人は実際に会場で悲鳴上げてたので、やらせ/サクラではないとは思うけど)、ブッシュ大統領のモノマネ芸人、Steve Bridgesが登場。でも正直、アタシにはよく分からなかったわ。英語力の無さに加えて、米国政治の内情がよく分からなくって。
そしてお待ち兼ねの"Woman In The Moon"。さきほどの"Lost〜"のピアノ同様、これも「スタ誕」の宣伝活動の一つではあるんだろうけど、ブッシュ大統領から政治つながりで民主党のナンシー・ペロシ下院議長(筋金入りのリベラル派)を持ち出し、バーブラ自身とも重なるフェミニストソングの「月に住む女」を歌い上げるあたり、その緻密な構成に舌を巻いたわ。歌自体には昔年の即妙さはうかがえるよしもなかったけど、これはもう歌ってくれただけでアタシは満足です。
歌詞を替え、現状維持でいいのか?と問い掛ける"Have I Stayed Too Long At The Fair?"を挟み、ミュージカル「南太平洋」から"A Cock-eyed Optimist"。そうなんです。信念を持っている人というのはある意味「デクノボウ」みたいなものだったりするのですね。でもけして諦めないその楽観こそが一番強かったりするのです。
そして"Somewhere"。このところバーブラのシグネチャソングとなっているこの曲だけど、ここまで憧憬と希望に溢れた曲、確かにあまりないわよね。二流芸人が加わったお陰でノイジーな部分もあったけど、最後の小節ではバーブラも渾身の力で高音を叩き出し、会場は総立ち。アルバム"Higher Ground"に収められている"On Holy Ground"で最高音"F"を出したことについて「出さなければいけないと思ったら出ちゃうのよ」と述べている彼女ですが、疎かにしてはいけない音をきちんと出すところにバーブラのプロ根性とテクニックを垣間見た気がしたわ。
コンサートのエンディングは"My Shining Hour"。64歳になっても常に現役のバーブラ、アタシも今が人生のときってずっと言えるようにありたいわね。
アンコールは"Don't Rain On My Parade"と"Happy Days Are Here Again"。前者は舞台版のリプライズを再現したもので、耳馴染みが薄い分新鮮。それにバーブラのドライブ感。ロックやソウルのグルーブはもう難しいようだけど、こういうショーチューンでの盛り上げ方は、今でもバーブラの独壇場。大盛り上がりの会場は引き続いての"Happy〜"で大合唱。少なくはない人間がアンコール前に退出したんだけど、おそらくここに残っていたのが本当のバーブラファン。本場ならではの一体感を堪能して会場を後にしたのですわ。